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2025年01月28日 12時20分

フジテレビ、異例の10時間会見でコンプライアンス問題浮上

フジテレビ、10時間に及ぶ異例の会見とコンプライアンスの影

1月27日、フジテレビは業界を揺るがした中居正広氏の女性トラブルに関する「やり直し」会見を開きました。深夜2時まで続いたこの会見は、437人の参加者を迎え、10時間以上の質疑応答が行われました。しかし、この長時間にわたる会見が信頼回復にはつながらず、その場に漂うのは未解決の問題への不満でした。

フジテレビの港浩一社長と嘉納修治会長が辞任を発表し、新たに清水賢治氏が社長に就任しました。しかし、フジテレビの最高実力者とされる日枝久相談役の不在が、責任の所在に対する疑問を呼び起こしました。特に、中居正広氏と被害女性のトラブルについては、「人権侵害の可能性がある事案」として取り扱われ、フジテレビの対応に批判が集まりました。

フジテレビの対応に潜むコンプライアンス問題

フジテレビは、被害女性のプライバシー保護を理由に、問題を公表することを避け続けてきました。港氏は「女性の気持ちを最優先した」と説明しましたが、その結果としてトラブルの隠蔽と疑われる事態に陥っています。フジテレビのコンプライアンス推進室の遠藤龍之介副会長も、情報が一部の社員にしか共有されなかったことに疑念を示しました。

また、フジテレビが中居氏の司会する番組を継続した理由について、港氏は「女性を刺激することを避けたかった」と述べました。しかし、これに対しても納得する声は少なく、むしろ中居氏という国民的スターへの「忖度」があったのではないかという疑念が広がっています。中居氏の番組継続が、フジテレビの利益を優先したものであるとの見方もあり、同社のコンプライアンス意識に対する批判は強まるばかりです。

長時間会見の中で見えた限界

10時間を超える会見の中で、記者たちは何度も同じ質問を繰り返し、フジテレビ側との押し問答が続きました。弁護士の亀井正貴氏は「1時間半で質問と回答は尽きていた」と指摘し、会見の進行に無駄が多かったことを批判しました。会場内ではユーチューバーが生配信を行うハプニングもあり、混沌とした状況が続きました。

この長時間に及ぶ会見は、フジテレビ側が問題解決に向けた誠意を示す試みだったのかもしれませんが、結果的には論点が曖昧なまま終わり、信頼回復には程遠いものでした。フジテレビの対応が女性の声を無視し、むしろ中居氏の存在を優先したとの批判は、今後さらに議論を呼ぶことでしょう。

この一連の問題は、フジテレビのみならず、メディア業界全体に対するコンプライアンス意識の再考を促す契機となる可能性があります。業界全体での信頼回復に向けた取り組みが求められる今、フジテレビの対応が試され続けることは間違いありません。

[山本 菜々子]

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