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2025年01月29日 09時10分

新横綱・豊昇龍の誕生と挑戦、モンゴルの風再び

新横綱・豊昇龍の誕生とその背景にある物語

2025年3月、大相撲界に新たな横綱が誕生しました。名を豊昇龍、本名スガラグチャー・ビャンバスレン。彼はモンゴル出身で、叔父には大相撲で偉業を成し遂げた元横綱朝青龍がいます。豊昇龍の横綱昇進は、多くの歴史的背景と個人的な成長を物語っています。

豊昇龍は、大相撲春場所での優勝を果たし、その後、正式に第74代横綱に昇進しました。彼の昇進は、日本相撲協会の番付編成会議と臨時理事会において決定されました。彼の昇進は、2021年名古屋場所後の照ノ富士以来、約3年半ぶりの新横綱の誕生を意味します。

彼の叔父である朝青龍は、土俵上での激しい闘志と大胆なキャラクターで知られていました。豊昇龍は、多くの面で叔父と比較されることが多いですが、師匠の立浪親方は「朝青龍とは全然違う。気の強さは叔父さんにはかなわない」と語ります。この発言からも、豊昇龍が独自のスタイルで横綱としての道を歩むことへの期待が感じられます。

横綱昇進の舞台裏に見える人間関係

豊昇龍の昇進には、彼の人間性や周囲との関係が大きく影響しています。彼は、優勝者インタビューで「ある人」との約束を果たしたと語りました。この「ある人」とは、千葉県柏市在住の久保田るりさんで、彼女は豊昇龍にとって「日本のお母さん」と呼べる存在です。彼女の息子でダウン症を持つ久保田輝哉さんとの出会いが、豊昇龍の心に大きな影響を与えました。

豊昇龍は、2019年に輝哉さんと出会い、彼を「日本の弟、てっちゃん」と呼び、心からの交流を深めました。るりさんは、豊昇龍の謙虚さを心配し、時には厳しい言葉で彼を導きました。その結果、豊昇龍は自分の成長を見つめ直し、横綱としての自覚を持つようになったのです。

横綱としての挑戦と期待

新横綱としての豊昇龍には、多くの期待が寄せられています。しかし、彼の道は決して平坦ではありません。八角理事長は、横綱としての責任を果たすための厳しい競争を強調し、「横綱は休場が多かったわけだし、チャンスはいくらでもあった」と、豊昇龍を含む次世代の力士たちに期待を寄せています。

豊昇龍自身も「生活面でも土俵の上でも、誰かのマネをするのではない。新しい自分を出したい」と語り、叔父の朝青龍とは異なる横綱像を追求しています。彼は、土俵上での戦いだけでなく、生活全般においても自己革新を目指しています。

照ノ富士の引退によって、角界に訪れた横綱空位の危機感は、豊昇龍の昇進によって一旦は解消されました。しかし、彼がこれからどのように横綱としての地位を確立し、どのような相撲を見せてくれるのかは、まだ未知数です。彼の成長とともに、大相撲界も新たな時代を迎えることとなるでしょう。

[中村 翔平]

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