藤浪晋太郎、メジャー再挑戦の裏にある決意と成長
藤浪晋太郎、海を越えて再起を賭ける挑戦
藤浪晋太郎投手がアメリカでの挑戦を続けています。彼はマリナーズとマイナー契約を結び、米国での第三年目を迎えます。その背景には、長年の右肩痛との闘いや、日本に戻る選択肢を排除し、メジャーリーグでの再挑戦にかける情熱があります。
藤浪は阪神タイガース在籍時から右肩の痛みに悩まされてきました。特に2015年秋の「プレミア12」では、侍ジャパン入りを辞退するほどの状態でした。それでも彼は「痛いけど投げられる」としばらくは投球を続けていました。しかし、昨年は痛みが酷くなり、右肩の炎症が原因でリハビリを余儀なくされました。藤浪にとっての転機は、このリハビリ期間中に訪れたのです。
藤浪はリハビリ中に手塚一志氏の著書「ピッチングの正体」を再読し、多くの技術や考え方がその一冊に凝縮されていることに気づきました。彼はこの本を通じて、新たな肩のトレーニング方法を見つけ、結果として長年悩まされていた右肩の痛みが消えたと語ります。この経験から、藤浪は「上達屋」に通い、体の動きを自動化するためのドリルを続けています。
藤浪は、メジャーリーグでのチャレンジを続けることを選びました。彼は「まだアメリカで何も残せていない」という思いが強く、右肩の痛みが消えた現在、自身のピッチングが通用すると信じています。また、彼はプエルトリコの冬季リーグに参加し、単身生活を経験。右肩痛の影響でシーズン中に不足していた登板数を補い、先発投手としての感覚を磨き直しました。
藤浪の挑戦は単なる挑戦ではなく、彼にとっての再生の旅とも言えます。彼は「改善すればもっとやれる」と自分に期待を寄せ、実際に「けがの功名」で新しい技術を習得しました。メジャーリーグでの再挑戦への強い意志は、彼の今後のキャリアに対する期待感を高めています。
藤浪は現在、アメリカでの生活にも順応しつつあります。マイナーリーグの生活は過酷とされがちですが、彼は「思っているほど過酷ではない」と語ります。長時間のバス移動も、食事も、彼にとってはそれほど大きな問題ではなく、むしろ孤独を感じることの方が多かったようです。しかし、その孤独も彼にとっては挑戦の一部であり、彼はその孤独を受け入れて前に進んでいます。
マリナーズとのマイナー契約を選んだ背景には、メジャー昇格の可能性が高いと判断したことが大きいようです。藤浪は、今年の目標として「メジャーに定着すること」を掲げており、下から這い上がる決意を新たにしています。そのために、彼は肩の健康を維持し、ストライク率を上げることに重点を置いています。
[田中 誠]