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2025年01月31日 12時12分

文化資産を守る!MANGA議連の新たなビジョン

文化資産の未来を守るために:MANGA議連が描く新たなビジョン

1月30日、東京の衆議院第1議員会館でマンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟、通称MANGA議連の総会が開催されました。この総会には、ちばてつや氏や庵野秀明氏といった業界を代表するクリエイターたちが参加し、日本が誇るこの文化の未来について熱心に議論が交わされました。

ちばてつや氏が語る文化保存の重要性

日本漫画家協会会長のちばてつや氏は、「あしたのジョー」などの原画提供を通じて文化庁の保存調査に協力しています。彼は、「昔はマンガなんて読むなと言われていた時代があった」と過去を振り返りつつ、先輩たちが築き上げたマンガ文化を大切にしなければならないと訴えました。特に戦後のマンガ家たちが使用した画用紙やケント紙の劣化について懸念を示し、早急な保存措置の必要性を強調しました。

この訴えは、マンガがただの娯楽ではなく、文化的な価値を持つ重要な資産であることを再認識させます。マンガは日本の文化を世界へと広める大きな力を持っており、その原画はその文化の歴史を物語る貴重な証拠です。

庵野秀明氏が提案する人材育成とアーカイブ化の必要性

アニメ特撮アーカイブ機構代理理事の庵野秀明氏は、アニメ資料のアーカイブ化が時間との戦いであると警鐘を鳴らしました。彼は、制作会社が保有する貴重な資料が失われつつある現状を指摘し、月単位での迅速な対応を求めました。また、アニメ制作現場での人材不足を挙げ、業界の現状改善を訴えました。人材育成はクリエイターの意欲と能力を引き出す鍵であり、業界の持続可能性を高めるためにも重要です。

庵野氏はさらに、タックスクレジットの導入を提案し、映像産業への税制優遇制度を求めました。世界の多くの国々で実施されているこの制度は、国際競争力を維持するために不可欠であるとしています。

海賊版サイト対策と国際的な啓発の必要性

海賊版サイトの問題も依然として深刻です。国内での海賊版被害額は1兆円を超えていますが、特に海外のサイトが多言語での無許可翻訳を行っている現状は、さらなる対策が求められています。現地当局の動きを促進するため、今後5年から10年にわたる長期的な啓発活動が必要とされています。

こうした取り組みは、海賊版サイトの根絶に向けた一歩であり、クリエイターたちの権利を守るためにも不可欠です。国際的な協力が進めば、日本の文化産業はさらに発展することでしょう。

表現の自由とその課題

MANGA議連の中でも、表現の自由についての議論は重要なテーマとなっています。里中満智子氏や森川ジョージ氏は、表現の自由が時に制限される可能性について懸念を示しました。特に、肌の露出や暴力シーンの描写に関する制約は、クリエイターの表現の幅を狭めるものであり、慎重な議論が求められます。

文化の多様性を尊重しつつ、表現の自由を守ることは、クリエイティブな作品が生まれる土壌を育むために必要不可欠です。議連の取り組みが、こうした課題にも対応し、日本の文化をさらに豊かにしていくことを期待したいですね。

MANGA議連が掲げるビジョンは、日本のソフトパワーをさらに高めるための重要な一歩です。日本のマンガ、アニメ、ゲームが持つ力を最大限に活かし、次世代に引き継いでいくためには、社会全体での協力が不可欠です。そして、その未来を守るための取り組みは、今まさに始まっています。

[中村 翔平]

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