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2025年02月12日 18時21分

NHKの番組改編、Z世代向け新戦略を始動

NHKの番組改編が示す新たな視聴者戦略

NHKは今後の視聴者戦略を大きく転換する兆しを見せています。2025年度の番組改定に伴い、これまで多様な価値観に触れるきっかけを与えてきた教育バラエティー「ワルイコあつまれ」が放送終了することが発表されました。この番組は、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんという「新しい地図」のメンバーを起用し、子どもも大人も楽しめるコンテンツとして人気を博していました。しかし、終了の決定は新たな視聴者層を獲得するための戦略的な動きと捉えることができます。

「ワルイコあつまれ」が築いたもの

「ワルイコあつまれ」は、2021年に事前の宣伝なしで特番としてスタートし、2022年からレギュラー放送として定着しました。この番組は、好奇心旺盛な“ワルイコ”たちに向けた多様な企画をオムニバス形式で展開し、多くの視聴者を魅了しました。稲垣さん、草なぎさん、香取さんが持つ独特のキャラクターと番組のコンセプトが見事に融合し、教育バラエティーの新しい形を見せてくれました。

この番組が放送終了となる背景には、視聴者層の変化やメディア消費の多様化があると考えられます。特に若者の視聴スタイルは急激に変化しており、従来のテレビとは異なるプラットフォームへのシフトが進んでいます。NHKはこの流れを見据え、新しい世代にアプローチするための番組づくりにシフトしています。

Z世代向けの新番組の投入

「ワルイコあつまれ」の後枠には、お笑いタレントのやす子さんが出演する「NHKでやらなさそうなアレ(仮)」が編成されます。この番組は、Z世代をターゲットにした新感覚の若者応援バラエティーとして、彼らの興味を引くコンテンツを提供する予定です。若者が求めるものに焦点を当て、彼らの感性に訴える内容を取り入れることで、NHKは若年層の視聴者を増やすことを目指しています。

Z世代は、デジタルネイティブとしてスマートフォンやソーシャルメディアを通じて情報を得ることに慣れ親しんでいます。このため、テレビ局は彼らの視聴習慣に合わせた柔軟なコンテンツ提供が求められています。やす子さんのユーモラスなパーソナリティーと多様な企画を組み合わせ、Z世代の心を掴むことができるかがこの番組の大きな挑戦となるでしょう。

多様性と新たな視点の探求

同時に、NHKは社会的なテーマに対するアプローチも更新しています。Eテレの「バリバラ」の後継番組として、多様な視点で「問い」を探求する「toi-toi」が放送されます。この番組は、障害者など多様な背景を持つ人々の声を拾い上げることを目的としており、社会の中での生きづらさや多様性について深く掘り下げる内容になる見込みです。

この動きは、公共放送としての役割を果たすため、多様な声を反映させる重要性を改めて示しています。社会において声を持ちにくい人々の視点を取り入れることで、視聴者に新たな気づきを与え、理解を促進することが期待されます。

[田中 誠]

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