杉良太郎、80歳の声優デビューで人生の問いを語る
杉良太郎、80歳での挑戦と人生のメッセージ
日本の芸能界で長いキャリアを持つ杉良太郎さんが、80歳にして新たな挑戦を始めました。彼が声優として初めて参加したのは、歴史アニメ映画「親鸞 人生の目的」です。この作品は、浄土真宗の祖である親鸞の生涯を描き、「なぜ生きるのか」という深いテーマを追求しています。杉さんは、親鸞の晩年の声を演じ、語り部として映画全体に関わるという重要な役割を果たしています。
アニメへの初挑戦
杉さんがアニメの声優に挑戦するのは初めてのことです。彼自身、アニメや漫画に親しむことはなかったと語っています。これは、貸本屋全盛期の時代に育った彼にとって、自然なことであり、彼の興味はもっぱら時代小説に向いていました。しかし、80歳という年齢で声優業に挑むことになったのは「何かの縁」と感じたそうです。このような新しい取り組みは、彼の探求心と挑戦する精神を物語っています。
実際の録音では、80歳の親鸞を演じるにあたり、「もう少し弱っているかな」と想像していたものの、実際には異なる指示があり、彼自身も新たな気づきを得たといいます。声の演技は、映像と違って視覚的なヒントがないため、難しさを感じたとのこと。しかし、試写を通じて映画の全体像を知り、製作の意図を理解したと話しています。
杉良太郎が中高生に伝えたメッセージ
映画の公開を記念して、杉さんは東京の郁文館夢学園で講演を行い、280人の中高生に人生のメッセージを伝えました。彼は、自身の10代を振り返り、「お父さん、お母さんの生活を楽にしたい」という思いが、彼の人生の目的であったと語りました。貧しい家庭環境で育った少年時代の経験が、彼の価値観を形成し、親を助けたいという願いが彼の人生の指針となったのです。
杉さんはまた、「友達がいなかった」と自身の過去を振り返り、長い友人関係の重要性を説きました。そして、中高生に対して「自分の人生はいま考えないといけない」と語り、自分の責任を持って生きることの大切さを強調しました。このメッセージは、若い世代に対する彼の真摯な思いを象徴しています。
「なぜ生きるのか」を問い続ける
映画のテーマでもある「なぜ生きるのか」という問いかけは、杉さん自身にも深い影響を与えました。彼は、人生の目的を考え続けることの重要性を強調し、「いまだに答えが出てこない」と正直に語っています。このような問いは、彼自身の人生の中で常に自問自答してきたテーマであり、彼の福祉や社会貢献への取り組みにもつながっています。
この映画を通じて、杉さんは観客のみならず、自身にも新たな視点を提供し続けています。彼の人生の目的は、「親を楽にさせてあげたい」という素朴で力強い願いから始まりましたが、80歳にしてもなお、彼は「なぜ生きるのか」という問いに向き合い続けています。この姿勢は、私たちにとっても大切な示唆を与えてくれるものです。
杉良太郎さんの人生と新たな挑戦は、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。彼のメッセージは、世代を超えて私たちに問いかけ、考えるきっかけを提供してくれます。彼のように、年齢に関係なく新たな挑戦を続ける姿勢は、私たちにとっても励みとなることでしょう。
[鈴木 美咲]