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2025年02月23日 07時12分

松坂桃李主演『御上先生』が描く兄弟の絆と亡霊のリアリティ

「御上先生」に見るドラマの新境地:兄弟の絆と亡霊の力

TBS系の日曜劇場「御上先生」は、松坂桃李が演じる官僚教師、御上孝を主役に、彼の亡き兄である御上宏太の幻影が物語を彩るユニークな設定で視聴者を惹きつけています。毎週日曜夜に放送されるこのドラマは、視聴者にとって予測不可能な展開を見せ、特に第6話では、御上兄弟の過去が明らかにされる重要なエピソードとなりました。

このドラマの中核をなすのは、亡霊として現れる御上宏太の存在です。新原泰佑が演じる宏太は、弟の孝にしか見えない幽霊として登場しますが、その存在は単なるファンタジー要素を超えた意味を持っています。宏太は生前、強い知識欲と正義感を持ち合わせた人物で、視野の広さから「見えすぎる」ことで自身を追い詰めてしまった過去があります。彼の絶望と死がどのように孝に影響を与えているのかが、物語の鍵となっています。

亡霊が描くリアリティと人間ドラマの深化

新原泰佑は、宏太を演じるにあたって、ただの亡霊という枠を超えた深みを持たせることに重きを置いたと語ります。彼の存在は、弟である御上孝にとって現実の延長線上にあるものであり、宏太自身も亡霊である自覚がないかもしれないという設定が、観る者に不思議なリアリティを提供しています。ドラマの中で亡き兄が弟と精神的に交わるシーンは、視聴者にとって感情の起伏を大いに揺さぶります。

新原は、宏太というキャラクターを通して、観る者に深い印象を与えたいと考え、彼の生前のシーンを特に重要視しました。「日常の部分を濃くすることで、宏太の不在が大きな“穴”となるように」と語る彼のアプローチは、兄がいなくなった後の世界の寂しさをより際立たせています。これにより、宏太の死が孝に及ぼす影響の大きさが、よりリアルに観る者に伝わるのです。

キャリアの転機となった舞台と勇敢さの象徴

新原泰佑にとって、宏太を演じることはただの役作りではなく、自らのキャリアの新たな章を切り開くものでした。特に2014年に出演した「インヘリタンス -継承-」という舞台は、彼にとって大きな転機であり、演技に対する考え方を深く変えたと言います。劇作家マシュー・ロペスから授けられた「Be always brave」という言葉は、彼の人生哲学に深い影響を与え、今回の役柄においてもその勇気を表現する原動力となっているようです。

このように、御上先生は単なるドラマの域を超えて、視聴者に深いメッセージを届けています。兄弟の絆や亡霊の存在を通して、人間の本質や生きることの意味を鋭く問いかけてきます。第6話では、宏太の過去が明かされ、孝がどのようにして現在に至ったのかが描かれます。これにより、ドラマはますます視聴者の興味を引くことになるでしょう。

御上孝の変化と成長を、亡き兄の視点から見守るというこの斬新な設定は、今後どのように展開していくのでしょうか。視聴者の期待はますます高まっています。

[鈴木 美咲]

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