那須川天心、モロニーを下しボクシング界で新たな挑戦へ
那須川天心、ボクシング界で新たなる挑戦を続ける
那須川天心選手が、東京・有明アリーナで行われた119ポンド契約の10回戦で、前WBO世界バンタム級王者のジェーソン・モロニー選手に判定勝利を収めました。ボクシング転向後6戦目にして、過去最強の相手を下し、今後の世界挑戦へ弾みをつけたこの試合は、彼の進化と成長を如実に示すものでした。
那須川選手は試合序盤からモロニー選手の右ストレートを受け、6ラウンドには左右の連打でダウン寸前に追い込まれる場面もありました。しかし、彼はそのピンチを乗り越え、試合中に自らを変革させました。「案外自分って打たれ強いな」と自らを評した那須川選手は、被弾したことでむしろ自分の強さを再認識し、戦いの中で新たな戦術を見出したようです。
恩人の教えと新たな覚悟
試合の背景には、那須川選手にとって特別な思い出がありました。1月に亡くなった帝拳ジムの長野ハル・マネージャーは、那須川選手に数多くのアドバイスを授けた恩人。彼のアドバイスは、那須川選手のボクシングスタイルに大きな影響を与え続けています。「どんよりした雰囲気を出したら、たぶん上(天国)から怒られると思う」と語る那須川選手の言葉からは、恩師への感謝とこれからの覚悟が感じられました。
彼の戦い方や考え方の変化は、ボクシング転向後の試合での実績からも明らかです。モロニー戦では、対戦相手の予想外の攻撃に対しても冷静に対処し、結果を出しました。これは那須川選手が持つ柔軟な戦術理解と、試合中でも進化を遂げる能力の証左と言えるでしょう。
世界王座への道
彼の次なる目標は、世界王座の獲得です。これまで「強くなること」に重きを置いていた那須川選手ですが、恩人の期待を背負い、彼の心には新たな目標が芽生えました。「ベルトにあまり興味がなかったけど、獲る理由が増えた」と語る彼の言葉には、恩人への感謝と決意が込められています。
那須川選手の戦績は、6勝(2KO)無敗。対するモロニー選手は27勝(19KO)4敗という経験豊富な選手でした。この試合を通じて、日本ボクシング界の新たなスターとして、世界に名を轟かせる日も近いことでしょう。那須川選手は、リング上でのパフォーマンスだけでなく、その人間性や精神力でも多くのファンを魅了しています。
那須川選手が見据える世界初挑戦。彼の戦いは、ただの試合ではなく、恩人への思いを胸に、己の限界を超え続ける挑戦でもあります。今後の彼の活躍から目を離せません。
[鈴木 美咲]