松重豊主演「劇映画 孤独のグルメ」、10億円突破目前の挑戦
松重豊と「劇映画 孤独のグルメ」:10億円の壁を越えた先に見えたもの
俳優の松重豊が主演し、監督・脚本も手掛けた「劇映画 孤独のグルメ」が話題を集めています。公開からわずか51日で興行収入9.8億円を突破し、観客動員数は69万人に達しました。松重は、公開前から公言していた興行収入10億円という野心的な目標に向けて、様々なプレッシャーを抱えていましたが、ファンの支えもあってその目標に迫っています。
12年にわたる井之頭五郎の旅路
「孤独のグルメ」はもともと、テレビ東京で放映された深夜ドラマシリーズとしてスタートしました。輸入雑貨商を営む井之頭五郎が各地を巡り、さまざまな料理を堪能する姿が多くの視聴者の共感を呼び、国内外で人気を博しました。このドラマは、久住昌之が原作を担当し、谷口ジローが作画を手掛けたハードボイルド・グルメ漫画を基にしています。舞台を劇場に移した今回の映画版では、松重が監督、脚本、主演と三役を担い、作品への強い思い入れを示しました。
映画のストーリーは、フランスに住むかつての恋人の娘・松尾千秋から依頼を受け、五郎がスープ探しの旅に出るというもの。異国の地での冒険を通じて、五郎のキャラクターがさらに深まる内容となっています。この映画では、杏や塩見三省、内田などのキャストが脇を固め、物語に彩りを加えています。
10億円のプレッシャーと松重の覚悟
松重豊は、映画の製作発表の段階から「10億円を超えなければ、井之頭五郎を続けることはできない」と宣言し、興行成績に対するプレッシャーを自ら背負い込みました。この大胆な発言は彼の強い決意の表れであり、井之頭五郎というキャラクターへの愛情があふれ出ているように感じられます。これに応える形で、ファンは映画を観に足を運び、熱心な応援を送り続けています。
公開後、松重は精力的にプロモーション活動を展開し、舞台あいさつにも積極的に登壇しました。釜山国際映画祭から数えて31回目となる舞台あいさつでは、ファンとの交流を楽しみながらも、改めて10億円の壁に対する覚悟を語りました。彼は「第2の人生を考えるのも悪くない」と冗談交じりに語りつつも、作品の成功に向けた思いを強調しました。
ファンの支えと国際的な広がり
映画の成功には、ファンの熱い支持も大きく貢献しています。舞台あいさつには手作りのボードを持つファンが駆けつけ、熱い声援を送りました。松重も感謝の意を表し、「この映画を愛してくださり、心よりありがとうございました」と頭を下げました。
映画の主題歌を担当したザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトや原作者の久住昌之氏からのコメント動画も上映され、会場は大いに盛り上がりました。松重は「棺桶に入ってもいい」と感無量の表情を見せ、映画製作の苦労と達成感を噛みしめているようでした。
松重豊の挑戦とファンの支えが生んだ「劇映画 孤独のグルメ」。10億円という目標の達成は目前に迫っており、その先にどのような未来が待っているのか、期待が高まります。
[田中 誠]