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2025年03月10日 20時12分

角野隼斗が描く音楽の新境地:YouTubeから世界へ

## 角野隼斗:異色のピアニストが描く音楽の未来

ピアニストの角野隼斗さんは、ただの音楽家ではありません。異色の経歴と多彩なスキルで、クラシック音楽界に新風を巻き起こしています。彼の音楽人生は、開成中学校・高等学校を経て東京大学に進学するという、いわゆるエリートコースを歩んできました。しかし、そんな彼が選んだのは、安定した職業ではなく、音楽という未知の世界でした。

### 異色の経歴が導く音楽の道

角野さんは、幼少期からピアノを学び、多くのコンクールでその才能を発揮してきました。しかし、彼の経歴が語るのは単なる成功の物語ではありません。大学院在学中に出場したピティナ・ピアノコンペティションでの特級グランプリ受賞が彼の転機となり、音楽一本でやっていく決意を固めたのです。

音楽界では、彼のように高学歴を持つアーティストは珍しい存在です。角野さんは人工知能や音響工学などを学び、その知識を音楽に活かすことを考え続けてきました。その結果、彼の音楽は単なる演奏を超え、テクノロジーと融合した新しい形を模索しています。

### ジャンルを超える音楽の可能性

角野隼斗さんの音楽が特異である理由の一つは、彼がジャンルを超えて活動している点にあります。クラシック音楽の枠にとどまらず、ロックやジャズ、ポップス、さらにはゲーム音楽やボカロ曲のアレンジなど、多様な音楽を取り入れています。このような多面的なアプローチは、彼がYouTubeで“Cateen”名義で活動し始めたことが大きく寄与しています。

2010年に開設したYouTubeチャンネルでは、彼自身のアレンジによる演奏を公開し、瞬く間に人気を集めました。2020年のコロナ禍でコンサートが中止になった際も、彼のオンラインでの活動はさらに活発化し、視聴者の心を掴みました。現在では、チャンネル登録者数は140万人を超え、その影響力は国内外に広がっています。

### 世界を舞台にした挑戦

角野さんの才能は、国内にとどまりません。2021年には、ショパン国際ピアノコンクールに出場し、セミファイナリストに選ばれました。この大会は、世界の若手ピアニストが競う場であり、彼の名がさらに広く知られるきっかけとなりました。

2023年からはニューヨークを拠点に活動を始め、2024年には日本全国ツアーを成功させました。特に日本武道館での公演は、ピアニストとして異例のことであり、13,000人を動員するという大成功を収めました。また、同年10月にはワールドワイド・デビューアルバム「Human Universe」をリリースし、ソニー・クラシカルとの契約を果たしました。これは、彼の音楽がさらに国際的な舞台で評価され始めた証拠です。

### ドキュメンタリー『不確かな軌跡』で見せる素顔

角野隼斗さんの音楽人生を追ったドキュメンタリー映画『不確かな軌跡』が公開され、彼の素顔や音楽に対する情熱がより多くの人々に伝わることになりました。彼は最初、このドキュメンタリー企画に対して「自分について映画にするようなことはないだろう」と渋っていました。しかし、日本武道館公演が決まったことをきっかけに、映画制作に乗り気になったそうです。

この作品では、彼の寝起きの姿や日常の努力といったプライベートな一面も含め、音楽家としての成長過程が描かれています。観客は彼の生身の姿を通して、音楽にかける情熱と未来への展望を感じ取ることができるでしょう。

### 新たな音楽の可能性を探求し続ける

角野隼斗さんは、音楽の枠を超えた新しい表現を追求し続けています。ピアニストとしての卓越した技術に加え、多様な音楽ジャンルを取り入れる柔軟性、そして技術と音楽の融合を試みる革新性。これらが彼の音楽を唯一無二のものにしています。

彼の音楽が今後どのように進化していくのか、そしてどのように世界中の人々を魅了し続けるのか、目が離せません。

[田中 誠]

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