名古屋ウィメンズマラソンで佐藤早也伽と安藤友香が魅せた代表争い
女子マラソン代表争いの舞台裏に迫る:佐藤早也伽と安藤友香の挑戦
2025年3月9日に開催された名古屋ウィメンズマラソンでは、女子マラソン代表を巡る熾烈な争いが繰り広げられました。このレースは、東京で行われる世界陸上選手権の代表選考を兼ねており、参加選手たちは自己ベスト更新を目指しながら、それぞれの戦略を駆使しました。
佐藤早也伽選手は、日本人トップの2位でフィニッシュし、自己ベストを更新する快挙を成し遂げました。彼女のタイムは2時間20分59秒で、日本歴代9位にランクインしました。佐藤選手は、前回の世界選手権での悔しい経験をバネに、今大会では粘り強い走りを見せました。地元の名城大学出身の加世田梨花選手らと先頭集団に加わり、30キロ過ぎからペースを上げる外国人選手にも食らいつく姿勢は、まさに勝負に挑む意気込みを象徴していました。
佐藤選手の走りについて、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんも「スタミナと粘りが光った。本当に冷静なレースをした」と評価しています。上半身をリラックスさせ、しなやかに動く足の動きが、彼女の強みであると分析されています。
一方、マラソン代表内定第1号に選ばれたのは、安藤友香選手でした。彼女は、ジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズIVでのランキングを元に、見事チャンピオンに輝きました。安藤選手の特徴的な走り方は「忍者走り」とも称され、あまり手を振らずに走るフォームが、ピッチの速さを生み出しています。高橋さんは、安藤選手の走りについて「速い選手に付いていくことが出来る。世界一上手い」と絶賛しています。
ペースメーカーのハプニングと運営への期待
名古屋ウィメンズマラソンでは、ペースメーカーがコースを間違えるハプニングが発生しました。23キロ付近で、先頭集団がカラーコーンで区切られた部分を走ってしまい、加世田梨花選手が正しいコースを指さし誘導する場面もありました。このような誘導ミスは、選手たちにとって精神的な負担となり得るため、運営側には今後の対策が求められています。
日本陸連の高岡寿成シニアディレクターは、会見で「運営の方々がアイデアを練って対策してくれるんじゃないかな」と期待を寄せました。選手たちが安心してレースに集中できる環境作りが、今後の課題と言えるでしょう。
世界との差を埋めるために
高岡SDは、女子マラソンにおける世界との差についても言及しました。世界の強豪と比べ、日本の選手層はまだ薄く、タイム面でも追いつけない現状があります。しかし、「勝負ができれば、パリ五輪のように形になるのではないか」と、希望を語りました。特に佐藤選手のように、トップ選手と競り合う姿勢が、今後の飛躍につながるのではないかと期待されています。
これからのマラソン界は、選手個々の努力だけでなく、運営体制の改善や、選手層の拡充といった環境整備が求められます。名古屋ウィメンズマラソンを皮切りに、各選手は次のステージでの活躍を誓い、さらなる高みを目指します。今後の女子マラソン界の進展に、目が離せません。
[中村 翔平]