栄和人監督、女子レスリング界に新たな風を吹き込む
栄和人監督の勇退と次なる挑戦:レスリング界のレジェンドが新たな一歩を踏み出す
日本の女子レスリング界において、多くのオリンピック金メダリストを育てた至学館大学の栄和人監督が、3月末をもってその職を退任することが報じられました。栄氏はこれまで吉田沙保里さんや伊調馨さんをはじめとする数々の名選手を指導し、14個のオリンピック金メダルをもたらした実績を持つ名指導者です。64歳となった栄氏は、年齢を理由に監督の職を後進に譲り、今後は非常勤講師として同大学で指導を続ける意向を示しています。
栄和人氏の功績と影響
1988年のソウルオリンピックに出場した栄氏は、1996年に中京女子大学附属高校(現・至学館高等学校)に赴任し、2003年から同大学の監督に就任しました。彼の指導のもと、吉田沙保里さん、伊調馨さん、登坂絵莉さんなどの選手が世界の舞台で活躍を遂げ、日本のレスリングを世界の強豪国へと押し上げました。特に、吉田沙保里さんの五輪3連覇、伊調馨さんの4連覇は、彼の指導力と選手の努力の結晶と言えるでしょう。
栄氏は選手の技術向上だけでなく、精神的なサポートにも力を注ぎ、選手たちが持つ個々の能力を最大限に引き出すことに成功しました。彼の指導哲学は、7年間の一貫教育で強い選手を育てるというもので、これは彼が至学館大学で始めた長期的な育成プログラムに基づいています。このアプローチは、短期間で結果を求めるのではなく、選手の成長を見守りながら継続して育てるという、持続可能な指導法として高く評価されています。
新たな挑戦とレスリングの普及活動
栄氏は、監督職を退いた後もレスリング界への関与を続け、新たな挑戦に臨む意欲を示しています。非常勤講師として同大学での指導を継続しつつ、社会人チームの監督として卒業生らの指導に力を入れる考えです。また、小中学生を対象とした「栄和人杯」を名古屋市内で開催し、幼児から中学生まで幅広い世代のレスリング普及活動にも力を注いでいます。
さらに、彼は障がい者支援への意欲も示しており、これまでの経験を活かして、子供から高齢者、障がい者まで幅広い層にレスリングを教える計画を持っています。これにより、レスリングが持つ魅力をより多くの人々に伝え、スポーツを通じた社会貢献を目指しています。
レスリング界の未来と栄氏の役割
日本の女子レスリングは、これまで栄氏の指導のもとで輝かしい実績を築いてきましたが、今後は新たな指導体制のもとでどのような進化を遂げるのか、その動向が期待されます。栄氏のこれまでの貢献と彼が今後も続けるサポートが、日本のレスリング界にとって大きな力となり続けるでしょう。
[山本 菜々子]