ニック・キリオス、手術後の初勝利で見せた再起の兆し
ニック・キリオス、手首の手術から復帰後の初勝利が示す新たな希望
手首の手術を経て復帰したオーストラリアのテニス選手、ニック・キリオスが「マイアミ・オープン」でシングルスにおいて劇的な復活を遂げました。ATP1000シリーズのこの大会は、彼にとって復活を懸けた重要な舞台となりました。キリオスは、予選を勝ち抜いたアメリカのマッケンジー・マクドナルドを3-6, 6-3, 6-4で下し、約2年半ぶりにツアー勝利を果たしました。
故障と戦い続けた日々
29歳のキリオスは、かつて世界ランキング13位にまで上り詰めた実力者です。しかし、度重なる怪我、特に手首の故障により、長期間ツアーから離れることを余儀なくされました。2022年の楽天ジャパンオープン以来、ツアーでの勝利は遠ざかっていました。特に最近では、BNPパリバ・オープンの1回戦で手首の痛みを抱えながら途中棄権を余儀なくされ、涙を流す姿も見られました。
彼の復帰は簡単なものではなかったです。手首の手術後も完全な回復には至らず、試合中は手首に厳しいテーピングを施し、鎮痛剤を服用せざるを得ない状況です。しかし、キリオスはその厳しい状況を乗り越え、再びテニスコートに立つことができた喜びを語っています。「手術を受けて、また勝利の場にいられるなんて信じられない」と、試合後のインタビューで感慨深げに語りました。
マイアミ・オープンでの戦いと今後の展望
マイアミ・オープンの1回戦では、キリオスは第1セットを落としたものの、第2セットで流れを取り戻し、最終セットでは13本のサービスエースを決めるなど、彼本来の強力なサービス力を発揮しました。マクドナルドとの接戦を制し、1時間43分の試合を見事に締めくくりました。
今大会の次戦では、第22シードのカレン・ハチャノフとの対戦が待ち受けています。過去の対戦成績では1勝2敗と負け越している相手ですが、キリオスにとってこの試合は自身の現在の実力を試す重要な一戦となるでしょう。シード勢として登場するハチャノフに対し、キリオスがどのような戦術を展開するのか、ファンの期待が高まります。
彼自身も「1週1週を大切にしたい。1年を通してプレーするつもりだし、それでランキングがどうなるか見てみたい」と述べており、今後のツアーに対する意欲を見せています。怪我の影響から完全に復活するにはまだ時間がかかるかもしれませんが、彼の持つポテンシャルは未だ健在です。
[中村 翔平]