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2025年02月05日 07時11分

河内洋調教師、競馬界に刻む最後の挑戦

河内洋調教師、歴史に名を刻むラストスパート

競馬界では、多くの名調教師がその足跡を残し、次世代へとバトンをつないでいます。2023年、この競馬界の名ホースマンの一人である河内洋調教師が、定年を迎え引退します。騎手として30年、調教師として21年という長きにわたり、日本の競馬界を支え続けてきた河内氏は、最後の1か月を迎え、特別な思いで過ごしています。

輝かしい騎手経歴から調教師への転身

河内氏の競馬人生は、騎手としてのデビューから始まりました。大阪府出身の彼は、1974年に栗東・武田作十郎厩舎からデビューし、瞬く間に多くのファンを魅了しました。彼の騎手人生は、数々の重賞勝利に彩られ、特に「アグネスレディー」でのオークス制覇や、その産駒「アグネスフライト」での日本ダービー制覇が印象的です。「競馬騎手人生の中で、日本ダービーの勝利は大きかった」と振り返る河内氏。彼の柔らかい騎乗スタイルは「牝馬の河内」とも呼ばれ、多くの名牝をエスコートしました。

2003年、彼はJRA通算2111勝という輝かしい記録を残し、騎手を引退。その後、調教師としての新たなキャリアをスタートさせました。調教師としても、河内氏は「馬に寄り添う」ことを信条とし、馬の状態を細かく観察する姿勢を大切にしてきました。厩舎での生活を通じて、彼は馬とともに成長し続けました。

ウォーターリヒトとウォーターガーベラの挑戦

河内調教師のラストスパートとなる今週、彼の厩舎から2頭の有力馬が重賞レースに挑みます。第75回東京新聞杯にはウォーターリヒト、第65回きさらぎ賞にはその妹ウォーターガーベラが出走予定です。この兄妹は、祖母の代から河内厩舎で育てられた“ゆかりの血統”であり、河内氏にとっても特別な存在です。

ウォーターリヒトは、昨年から力をつけており、今年の京都金杯ではわずか首差で2着となりました。「大外枠での厳しいレースでしたが、しまいにはよく伸びてくれました。重賞でも十分に戦える力がある」と河内氏は自信を見せます。一方、ウォーターガーベラも前走のシンザン記念で3着と好走しました。河内師は「前走は不利を受けたり、顔に泥が当たったりしましたが、よく走ってくれました」と評価しています。

85年ぶりの快挙を目指して

この兄妹が同日に重賞を制すれば、実に85年ぶりの快挙となります。1940年に母スリリングのキヨクジツとタイレイが同日に重賞を制して以来、達成されていない記録です。河内氏も「兄妹で勝ってくれれば最高だが、無事に帰ってくるのが一番」と、慎重ながらも期待を寄せています。

[佐藤 健一]

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