スポーツ
2025年02月09日 18時10分

フォルティウス、ミラノ五輪への再挑戦に成功

フォルティウスの再起:ミラノ五輪への道を切り開く

カーリングの舞台でフォルティウスが再び輝きを放ちました。2025年2月9日に行われた日本選手権の女子決勝で、フォルティウスは宿敵・北海道銀行を延長戦の末に8対7で下し、4年ぶり3度目の優勝を果たしました。この勝利により、彼女たちはミラノ・コルティナ五輪への候補決定戦に進むことができ、夢の舞台への一歩を踏み出しました。この勝利の背後には、チームを率いる吉村紗也香選手の並々ならぬ決意と、彼女が直面した数々の試練があったのです。

フォルティウスは2011年に北海道銀行とスポンサー契約を結び、「北海道銀行フォルティウス」として活動をスタートしました。2014年ソチ五輪では5位に入り、チームとしての実力を証明しました。しかし、2021年にはスポンサー契約が終了し、チームは窮地に立たされました。さらに、北京五輪の代表決定戦では惜しくも敗れ、吉村選手は「廃人のようだった」と当時を振り返ります。それでも彼女は「もう一度五輪を目指したい」と決意し、新たなスタートを切りました。

吉村選手にとって、今回の優勝は単なる勝利以上の意味を持っています。彼女は一昨年に長男を出産し、母親としての新たな役割を担いながら競技に復帰しました。「体を戻すのは大変でしたが、もう一度ここでプレーしたいという思いがありました」と語る彼女の姿勢が、今回の勝利に繋がったと言えるでしょう。試合後には「帰ったらメダルを息子にかけてあげたい」と胸を張って語り、母親としての強い思いも垣間見せました。

今回の日本選手権では、フォルティウスは序盤から激しい戦いを繰り広げました。特に決勝戦では、前半を2対3とビハインドで折り返しましたが、第6エンドで吉村選手の鮮やかなショットにより3点を奪い、形勢を逆転させました。その後も互いに得点を重ねる緊迫した展開の中、第9エンドでは吉村選手がドローショットを決めて2点を勝ち越し、最終的に延長戦で勝利を手にしました。この試合は、ネット上でも「涙なしでは語れない一戦」として多くの感動を呼び、多くの視聴者がそのドラマチックな展開に魅了されました。

フォルティウスと北海道銀行の因縁の関係は、カーリング界ではよく知られています。かつては同じチームとして活動していた両者が、スポンサー契約終了後にそれぞれの道を歩み始めました。北海道銀行は女子カーリング部を新設し、フォルティウスは吉村選手を中心に独自のチームを構築しました。この背景が、今回の決勝戦に一層の緊張感を与えました。

フォルティウスが再び輝くことができたのは、彼女たちが抱える困難を乗り越え、それを力に変えたからに他なりません。吉村選手の決意と新たなスタートを切ったチームの団結力が、この勝利に繋がったことは間違いありません。9月に予定されている五輪代表候補決定戦では、昨年の日本一であるSC軽井沢クラブや、世界ランクで日本勢最上位のロコ・ソラーレと三つ巴の争いが繰り広げられる予定です。

これからの戦いも決して容易ではありませんが、フォルティウスの選手たちは自信を持って前に進むことでしょう。彼女たちの努力と情熱が、再び五輪の舞台で輝く日を期待せずにはいられません。カーリング界における彼女たちの物語は、まだまだ終わることはありません。

[田中 誠]

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