田㔟邦史監督が語る卓球男子日本代表の名勝負と未来への期待
田㔟邦史監督が語る卓球男子日本代表の名勝負と未来への期待
卓球男子日本代表の田㔟邦史監督が、任期満了を前に、その監督時代の3年半を振り返り、特に印象深い名勝負を選びました。今回の特集では、田㔟監督が選んだベスト3の試合を通じて、彼が選手たちに寄せる期待や、卓球界の未来について考察します。
第3位:若き才能、松島輝空の快挙
田㔟監督が選んだ第3位は、2024年世界卓球での松島輝空と台湾のレジェンド、荘智淵の試合です。当時16歳だった松島にとっては世界卓球デビュー戦であり、彼の成長を見守るために、田㔟監督は松島を大一番の3番手に起用しました。この試合は、互いに譲らない激戦となり、最終的に松島が劇的な勝利を収めました。田㔟監督は、松島の成長を促すためのこの決断が正しかったことを喜び、「今見ても鳥肌が立つ」と語っています。
松島は、試合中に監督の指示を的確に実行し、その冷静なプレーぶりが印象的でした。田㔟監督は、松島がコート内で示す冷静さと大胆さを高く評価し、彼の今後の成長に大きな期待を寄せています。
第2位:張本智和の逆転劇
続いて第2位に選ばれたのは、昨年10月のWTTチャンピオンズ・モンペリエでの張本智和選手とスウェーデンのシェルベリ選手との試合です。2か月前のパリ五輪での悔しい敗戦を経て、リベンジを果たしたこの試合は、彼にとって大きな成長の瞬間でした。
試合は最終ゲームで相手がマッチポイントを握るという緊迫した展開。しかし、張本選手は強気のプレーを選び続け、見事な逆転勝利を収めました。田㔟監督は、張本選手のメンタルの強さと、試合の状況に応じた柔軟なプレーを称賛し、彼の成長が日本卓球界にとって大きな財産であると評価しています。
第1位:歴史的快挙、張本智和の栄光
そして、田㔟監督が選んだ第1位は、昨年のアジア選手権男子シングルス決勝での張本智和選手対林詩棟選手の試合です。この試合で張本選手は、中国の次世代エースを下し、日本男子卓球界に50年ぶりの金メダルをもたらしました。
この勝利の影には、田㔟監督の的確なアドバイスがありました。監督は張本選手に「優勝しなくていい」と伝え、代表権獲得を第一目標とし、そこから自由にプレーするよう促しました。このアドバイスが張本選手のプレッシャーを和らげ、彼が持つ本来の力を発揮させる結果となりました。
田㔟監督が残したもの
田㔟監督は、これらの試合を通じて、選手たちに「成長」と「経験」という大きな資産を与えました。彼の監督業は3月末で任期を終え、4月からは岸川聖也氏にバトンタッチされます。田㔟監督は「やりきった気持ち」があると語りつつも、新体制のもとでのさらなる飛躍を期待しています。
[佐藤 健一]