「全音楽界による音楽会」3.11チャリティで音楽の力を再確認
音楽界の結束と使命感が光る「全音楽界による音楽会」
2023年3月11日、東京のサントリーホールで「第12回 全音楽界による音楽会 3.11チャリティコンサート」が開催されました。このイベントは、東日本大震災の震災遺児たちを支援するために行われるもので、音楽界のさまざまなジャンルから集まったアーティストたちの協力によって実現しています。今回のコンサートには歌手の小林幸子さん、松本伊代さん、氷川きよしさんらが出演し、それぞれが心を込めて歌声を届けました。
音楽の力で震災遺児を支援
このコンサートは2011年の震災発生直後に、作曲家の三枝成彰さんや作詞家の湯川れい子さんらが発起人となり始まりました。震災によって親を失った子どもたちを支援するという目的のもと、毎年3月11日に開催されており、今回で12回目を迎えます。アーティストたちはノーギャラで出演し、会場のサントリーホールも無償で提供されるなど、全ての収益は「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構(3.11塾)」を通じて寄付されます。これまでに多くの震災遺児たちの学びや成長をサポートしてきました。
アーティストたちの熱意と感謝
小林幸子さんは、第1回から出演しているベテランアーティストの一人です。「3月11日は大変なことが起こった日です。絶対に忘れないように、そして皆さんに喜んでいただけるような歌を届けたい」と語り、社会貢献への熱意をあらわにしました。
一方、初参加の松本伊代さんは、デビュー曲「センチメンタル・ジャーニー」を披露し、「オーケストラで歌うのは初めてで、忘れられない日になりました」と感想を述べました。彼女はこの機会を通じて、音楽を通じた支援活動に参加できたことを誇りに思っています。
また、氷川きよしさんも参加し、シースルーの衣装でステージを軽やかに歩き、観客を魅了しました。彼のように多様なジャンルのアーティストが集まることによって、コンサートは一層の広がりと深みを持つものとなっています。
継続的な支援の重要性
作曲家の三枝成彰さんは、「皆さんに14年間、タダで出ていただいている。本当に申し訳ない」と感謝の意を示しました。このような継続的な支援活動が可能であるのは、参加アーティストたちの理解と協力のおかげです。湯川れい子さんも、「クラシック、ジャズ、演歌、歌謡界、全音楽界で支えます」と語り、音楽の力で震災遺児たちを支援し続ける意義を強調しました。
ファッションデザイナーのコシノジュンコさんは、震災直後にこの活動を始めたことについて「ずっと続いているのがすごい。これから100年続けたい」と語り、長期的な視点での支援の重要性を訴えました。
音楽を通じた社会貢献の道
「全音楽界による音楽会」は、音楽を通じて社会に貢献するという使命を果たし続けています。震災遺児たちの未来を支えるために、アーティストたちは毎年この日を特別なものにしようと努力しています。このコンサートは、音楽の力が人々を結びつけ、困難を乗り越える力を持つことを改めて証明しています。
今後もこのような活動が続いていくことを願いつつ、参加アーティストたちの熱意と観客の温かい拍手に包まれたサントリーホールは、音楽の持つ力を再確認する場となりました。この一夜の経験が、震災遺児たちや関わるすべての人々にとって、忘れられないものとなったことでしょう。
[山本 菜々子]