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2025年03月13日 10時11分

セリーヌ・ディオン、AI生成「偽物」楽曲に警告:アーティストの権利を守れ

セリーヌ・ディオン、「偽物」楽曲にAIの影響を指摘し警告

有名アーティストたちが次々とAI技術の進化に懸念を示す中、歌手セリーヌ・ディオンもその波に巻き込まれています。彼女は最近、AIによって生成された自身の「偽物」楽曲がインターネット上で広く出回っていることを明らかにし、ファンに対して注意を促しました。これらの楽曲は、ディオンの音楽パフォーマンスや名前、肖像を無断で使用しているとして、彼女の公式ディスコグラフィーには含まれないことを強調しています。

セリーヌ・ディオンは、免疫性神経疾患スティッフ・パーソン症候群という難病と闘いながらも、2024年のパリオリンピック開会式で感動的なステージ復帰を果たしました。エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」をエッフェル塔の上で歌い上げ、多くの観客を魅了しました。しかし、健康状態の変化により、声帯を以前のように自由に使えない状況が続いており、今回のAI生成楽曲の問題は、彼女の音楽キャリアに新たな課題をもたらしています。

AI技術とアーティストの権利

AIによる楽曲生成は、音楽業界における新たな挑戦として浮上しています。ディオンが指摘したような「偽物」楽曲は、アーティストの意図を無視して制作されるため、著作権の侵害やアーティストのアイデンティティの損失につながる可能性があります。2024年4月には、ビリー・アイリッシュやエアロスミスなど200人以上のアーティストが、AI音楽生成技術の使用を制限するよう求める公開書簡に署名しました。この動きは、アーティストの権利を保護するための重要なステップとして捉えられています。

AI技術は、音楽制作の効率化や新たな創造の可能性を持つ一方で、アーティストのオリジナリティを脅かすリスクも孕んでいます。ディオンのように、自身の作品がAIによって改変されたり、偽物として配信されたりすることへの懸念は、他のアーティストにも共通しています。クイーンのギタリスト、ブライアン・メイもAIによる音楽生成に対して声を上げており、この問題の深刻さを浮き彫りにしています。

AI生成楽曲の未来と倫理的課題

AI技術の進化は止まることを知らず、音楽業界におけるAIの役割は今後ますます増していくと予測されています。AI生成楽曲は、従来の音楽制作プロセスを変革し、コストや時間の削減、さらには新たな音楽スタイルの創出を可能にする一方で、アーティスト自身の創造性や感性を凌駕する恐れもあります。

このような状況下で、音楽業界全体が求められるのは、AI技術の倫理的な使用とアーティストの権利をどう保護するかという問題です。アーティストとAI開発者、デジタル音楽サービスの間での透明性と対話が不可欠であり、これにより、アーティストの意図や創造性が尊重される新しい音楽環境が築かれることが期待されています。

[山本 菜々子]

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