滋賀短大付属高校、狭小グラウンドから甲子園への挑戦
滋賀短大付属高校の挑戦:狭小グラウンドから甲子園への道
滋賀県の小さな高校、滋賀短大付属が選抜高校野球大会、通称「センバツ」で甲子園への切符を手にしました。この驚くべき成果の背景には、彼ら独自の練習法と精神力が大きく寄与しています。強豪校と比べて決して恵まれた環境とは言えない中で、どのようにしてこの学校が全国大会への道を切り開いたのでしょうか。
滋賀短大付属高校は、JR大津駅から徒歩10分の場所にあるL字型の狭小グラウンドを練習場としています。このグラウンドは他の部活動とも共有しており、内野の練習ができる程度の広さしかありません。そのため、実戦的な練習は、車で30分ほどかかる別のグラウンドで行われることが多く、休日には近隣の高校や専門学校のグラウンドを借りることもあります。
しかし、彼らはこの制約を逆手に取り、効率的な練習を行うことで成果を上げています。選手たちはキャッチボールの際に、捕球後すぐに振り向いて投げる動きを意識し、内野手のボール回しでは走者にタッチしやすい低めの送球を徹底しています。また、順番を待つ選手たちも、イメージトレーニングを行いながら自分の動きを磨き、限られた時間で最大限の効果を引き出す工夫を凝らしています。
強豪校への挑戦:戦略的なプレーで得た自信
昨秋の試合では、対戦相手の強みを分析し、徹底した戦略を立てることで能力差を埋めました。例えば、彦根総合との試合では、内角球をファウルにして外角球を捉えるという作戦で序盤から得点を重ねました。このように、相手に合わせた柔軟な戦術が功を奏し、選手たちに自信を与えました。特に、捕手の大窪玲輝は「1週間の対策だったが、圧倒的に能力が上のチームに勝てるんだ」と語り、その経験がチーム全体の士気を高めました。
続く近畿大会では、大阪の強豪校である履正社を破る快挙を達成しました。左腕の桜本拓夢は、外角を徹底して攻めるピッチングで1失点に抑え、「コースへ低く投げきる。それだけをやってきたから戦えた」と振り返ります。この試合は、滋賀短大付属が全国の舞台で戦うための自信をさらに深める結果となりました。
挑戦の舞台:甲子園と吹奏楽部の熱い応援
センバツ大会に向けて、滋賀短大付属の吹奏楽部も選手たちを後押しするための準備を進めています。彼らは初戦となる敦賀気比(福井)との試合に向けて、全13曲の応援演奏を練習しており、その中には選手からのリクエストである威圧感のあるネフタリ・ソトの応援歌も含まれています。試合当日には卒業生や県立石山高の吹奏楽部も加わり、総勢100人以上の大編成で選手たちを応援する予定です。
吹奏楽部の部長、加藤萌葉さんは「応援も相手との勝負。甲子園ではそこでぜひ勝ちたい」と意気込んでいます。彼らの演奏は、選手だけでなく観客までも引き込み、試合の雰囲気を一層盛り上げることでしょう。パーカッションを担当する藤村希夢さんは「好きな曲はヒットが出た時のファンファーレ。甲子園でたくさん演奏して盛り上げたい」と話しています。
滋賀短大付属高校の物語は、限られた環境の中でどのように工夫し、チーム全体として力を合わせて目標を達成するかという、スポーツの醍醐味を教えてくれます。彼らの挑戦はまだ続いており、その姿勢は多くの人々に勇気を与えます。次なる試合での活躍も期待されるところです。
[高橋 悠真]