スポーツ
2025年03月19日 11時10分

育徳館、文武両道で福岡高校野球界に新風を吹き込む

伝統校育徳館が示す文武両道の真髄

福岡県の高校野球界において、育徳館が昨秋に見せた快進撃は、多くの人々を驚かせました。この歴史ある学校は、1758年に開設された藩校を前身とする県内最古の伝統校であり、その名にふさわしい成果を挙げています。秋季福岡大会での準優勝と九州大会への初出場を果たし、さらにセンバツ21世紀枠の福岡県推薦校に選ばれるなど、その実力を見せつけました。

しかし、育徳館の成功は単なる運や一時的なものではありません。そこには深い、「文武両道」という教育哲学が根付いています。育徳館の野球部は、スポーツと学業の両立を重視し、生徒たちはそのバランスを保ちながら日々努力を続けています。

育徳館の選手たちの誇りと成長

育徳館の選手たちは、グラウンド内外での成長を大切にしています。その一例が、山下恩生外野手の存在です。彼は大会中に打率.370を記録し、決勝戦でも3安打を放つなど、目覚ましい活躍を見せました。しかし、それだけではありません。山下選手は学業でも優秀な成績を収め、九州大学の医学部への進学を志望しています。このように、育徳館ではスポーツと学業の両立が奨励されており、選手たちはその中でバランスを取りながら自らを高めています。

また、主将の隅田勇輝捕手は、「勉強もできるし野球もできる」という理由で育徳館を選びました。彼の言葉からは、育徳館が提供する環境が選手たちにとっていかに魅力的であるかが伝わります。隅田選手は大学でも野球を続けたいと語っており、将来の目標に向けて日々努力を重ねています。

井生監督の人間力教育

育徳館の成功には、井生広大監督の指導方針も大きく寄与しています。井生監督は選手たちに対し、技術だけでなく「人間力」の向上を強く求めています。彼は選手たちに「技術は練習だけでは上達しない。人間力があってこそ技術も上達する」と説き、日々の指導においてもこの考えを大切にしています。

井生監督は、選手たちを家族のように大切にし、彼らの成長を見守っています。彼の指導の下、選手たちは技術的にも人間的にも大きく成長し、試合での劣勢を逆転する力を身につけました。秋季福岡大会の準々決勝では、久留米商に逆転勝ちし、準決勝の東福岡戦では劣勢からの逆転勝利を収めるなど、その成果は試合結果にも表れています。

地元の絆が生む強固なチーム力

育徳館の強さの背景には、地元の絆も大きく関係しています。今年の育徳館野球部には、地元出身の選手が多く在籍しており、それがチームの結束力を高める要因となっています。主将の隅田選手も、地元の選手が多いことを挙げ、「中学の頃から顔見知りが多かった」と語り、選手同士の親しみやすさがチームの一体感を生んでいることを示しています。

地元の大会で優勝を果たし、九州大会でも1勝を挙げた育徳館ナイン。彼らは、地元での活躍が地域の誇りであることを強く意識しており、その思いが彼らのプレーにさらなる力を与えています。

このように、育徳館は文武両道の精神と地元の絆を基盤に、今後も福岡高校野球界において新たな風を吹かせていくことでしょう。彼らのさらなる活躍に期待が寄せられます。

[松本 亮太]

タグ
#文武両道
#育徳館
#高校野球